前項で言いました通り、キューブの(要素)はその数がはっきりしていますから、それに(ユニットの数を一致させる)という考えは、必然的なテーマですね。で、…
「キューブ」は別名「正6面体」ですから、(面の数=6)です。次に(辺の数=12)、(頂点の数=8)ですね。そこでこれらキューブの(要素)の数に合わせての、ユニット作例をご紹介しましょう。
ところで前に阿部さんの推薦図書として「高木貞治(たかぎ ていじ)著 数学小景
岩波書店」という名著に触れましたが、その中に、この(面=Face)と(辺=Edge)と
(頂点=Vertex)との間に在る法則を示した「オイラー(=Leonhard Euler)の多面体定理」についての、とても楽しい解説があります。
結論だけを示すと、…3種の(要素)の間には、…
V(頂点)+F(面)= E(辺)+2 (高木先生は、点はt、面はm、辺はh、で説明!)
という関係式が成り立つというものです。ところで痛快なのはその証明で、(多面体)をゴムで出来た球体のように考えて、…いや、門外漢の説明など止しまして、…この定理の証明が、近代数学の一つ、「トポロジー(Topology=位相幾何学)」の出発点となったと言われている、という事実のみ紹介させていただきます。 ほら!『ドーナツとコーヒーカップとは、“穴が一つ空いた図形”で等しいもの。』そんな考え方をする幾何学ですね。
なおこれまた自慢話に繋がりますが、『この「トポロジーの考えからの一つの発展としての“カタストロフィー理論”という思考」を、日本に最初に紹介された数学者だよ』と、阿部さんに教えられた、早稲田大学の野口宏教授がおられますが、この野口先生は、一方で「あやとり」の著名な研究者でもあられ、…こちらでの関係で、この野口先生と、当時サンリオにおられた阿部恒さん、…そして数年間、ピポ社で一緒に働いた同僚で親友の、ペーパークラフトなどに見事な才能をお持ちのデザイナー小杉恵子さんと私との四人は、サンリオが創刊した「あそびの国」という楽しい雑誌の編集のために、毎月1回集まったものです。 こんな幸運が確か2年ほど続きました。
まあこの編集会議も楽しかったものですが、終わった後の(呑み会)が、まあ至福のとき! 山国生まれの私が、刺身の真の旨さを教えられたのもこのときでした。
マグロもサバもヒラメもアジも、タイもイワシも、海の魚はまったく知りませんでしたので、お寿司が美味しいものだと知ったのは、30歳も半ば過ぎてからですが、…まあ、その美味しいと思うものは、イカ、タコ、エビ、それに赤身のマグロに平貝ぐらいで、コハダやウニやトロなどがおいしいと思うようになったのは、…そう、この頃以降のこと。
そしてこの呑み会で、(白いカレイのエンガワ)とか、(桜色したイワシのお刺身)の初めて知るおいしさには、声をあげるほどの感動でした。
昔、長野県で知る魚は、鯉、フナ、ワカサギ、…うなぎ、など淡水魚で、海のものは「塩イカ」?…海の無い県としては、イカは生ではなく、塩漬けの真っ白い保存用のものだけでした。(これがまた独特のおいしさのものでした。) まあ現代の方にはきっと想像もできないでしょうが、…私のこども時代はそんなでした。
あっそれから、フグのおいしさを教えてくれたのは、佐世保市に居られた頃の川崎敏和さんです。(それは、確か私はまだ40代半ばの、煩悩多きときだったか?)
あれあれともかく、この頃の経験と毎日は、我が人生の絶頂期のものだったようです。…失礼、本題に戻りましょう。
さて前項では「要素は4つ在る」と言いましたが、(中心)は、それって一つしか在りませんから、数に合わせたユニットにはなりませんので、ここでは用いられませんね。
でもこの(中心)からの発想は、他の要素に関連付けると、いろいろと考えることは出来て、とても楽しいテーマでしょう。
ともあれ、「キューブ」という一つのテーマがどんどんと広がって行く様をご覧いただくと、私がこの探求をライフ・ワークにしたこと、きっとご理解いただけるでしょうね。
左から、「面数6に合わせての6ユニット組みキューブ」 中央が「辺数12に合わせての12ユニット組みキューブ」 そして右が「頂点数8に合わせての8ユニット組みキューブ」 そしてここでの自慢は、このユニットの折り方が、ほぼ全て同じ ということ! |
これは(一つしかない中心)を 6つに分けて、外側に引き出す という思案での作例。 「菱形12面体」とでも呼ぶ? なおここでの使用ユニット数は 辺の数に等しい12枚です。 |
0 件のコメント:
コメントを投稿