家電が次々に壊れて…
2020年から21年にかけての(コロナ禍)の中でのこと、使い慣れた家電製品が次々と壊れた。電気屋で聞いたそれらの機器の平均寿命からは、その2倍3倍と使ったようなので、悔しがることではないようだが、さーてこんな事態、ひょっとすると我が身の寿命の暗示か?なんて思わぬでもない。実際このところ体のあちこちに故障が出ている。
さてそんな中、ファンタジー「昔、始まりの物語」に使っていたパソコンが、これまた壊れて死んだ! かくてこの第2部はもう無くなってしまった。
考えた話の90%以上は書いてあったので、もう少し早くに書き上げ、バックアップを取るかプリントアウトしておけば、…とそのことはちょっぴり悔やまれるが、まあ今更ながら致し方ない。でまだ記憶がかすかに有る中にこの物語(第2部)のあら筋の断片を記しておこうと思った。 こんな幼稚な妄想話なんてだれも期待してはいないだろうが。
まず第2部ではまだ明瞭ではないものの、(始まり)の意図が徐々に出て来る。それは、大陸からの渡来の始まり、稲作の始まり、自由喪失の始まり、貨幣発明、貧富の始まり、種族衰亡の始まり、…なんていう我が身に似合わない妄想がその元にある。
しかしまあそんな意図のため、少なくとも第2部の妄想のドラマの進行は次のようなものだった。
序章 抹消されなかった二頭
(食)の喜びを知ってしまったために、翼を生やしてしまった4頭の竜の中、2頭は西洋の英雄の手で抹消されたが、残る2頭は熟考するタイプだったので、これが不可抗力的な不慮の事故だと 大創造者と大設計者たちに諫言するための策として、人間の姿に変身する!?(第一部でちらっと姿を目撃された妖気を漂わせた老人)
さてここまで600年を生きて来て思考を楽しむ大樹の精ジュセの根方に、宇宙の旅人の彗星の燃え残りの核が飛び込んで来て、二人(?)は友人となり会話することで、ジュセの知識が宇宙規模に広がる。そして、二人は心を合わせてマカイ族の世界の理念の構築を始める。
第一章 ガング、セイン、セッキ
四種族会同の終了間際、ゴンノヒコから今味わわせていただいたワインの原料は何か?の問いが出されるも、ダイオングは答えられず困ったところに、給仕役で座っていた鬼の娘が立ち上がり、『今皆さんが楽しまれているものは山ぶどうからのものだが、他にもオレ独自に山梨や山桃、それに野いちごなどからも造っています。ところでオレはニンゲンの方々のおみやげの(ショウチュウ)や(チーズ)がとても気に入って、自分でも作ってみたいと思ってしまったが、その作り方を教わりに、そのー、オレ、あやだっ、ワタシをカクレ里まで同行させてもらいたいが、そんな願いは叶えられましょうか?』
そんな発言をした茶髪で背の高い、目の大きな鬼の娘の名をヒノミと言った。そのヒノミの言葉に、タカミとマモルが小躍りする。つまり大歓迎。 と、サトルヒコに負けたホングが立ち上がり『吾は剣の修行のため、いやオサノオオヒコどのやタケルどのにその道を教わりたいのですが、お二方どの、それにダイオングどの、いけませんでしょうか?』
こんな若者二人の本心からの率直な発言に、どこかにまだ沈んだ雰囲気の残存していた会同は完全に明るさを取り戻したのでした。もちろんダイオングも相好を崩して喜ぶ。
こんな次第で帰路には二人の鬼の若者が加わっていました。 と、その帰路にてホングが肩に矢を打ち込まれて倒れているオグルを発見!
タカミを始め皆の手際よい処理でオグルの命に別状のないところとなるが、この矢を射たのがかのガングであり、そこにはセイン、セッキも居て、ガングとセッキはオグルの命まで奪おうとするが、それを阻止したのはセインだったと、オグルの口から真相が明かされる。またオグルの父の形見でもあるマサングの剣がガングにより持ち去られたことも判明。
この後、小さな鬼さん族の男女の若者たちが森の中で待っている場面となる。キヌヒメはその小さな鬼さん族の少女たちのカラフルな髪の毛の色に惹かれ、いろいろ聞く。彼女たちの説明では、生まれときは皆薄いピンクだが、その後植物のジュースによって、好きな色に変えられると説明する。おしゃれが趣味のキヌヒメは大いにその話に惹かれる。
一方男たちは、ゴンノヒコの提言から今後の会同のための段取りとて、ひとまず(連絡係)を決めようとなり、チサナヒコ族からはアメノヒコ、カゼノヒコ、ユキノヒメの3名が。小さな鬼さん族からはソラノヒコ、コズエヒメ、コノハヒメの3名が決まる。
ところでこの後、鬼の角(つの)談義となり、…ゴンノヒコとホングの説明により(鬼の名誉の印)(固い約束)などの比喩として「角にかけて」とか「角を欠く」などの言葉の説明があるも、オグルの居るところとてあまり深入りも出来ず、結局のところそれは絶対必要不可欠なものでも無さそうだ、みたいなことになって行く。なお続いてやはりゴンノヒコから(会同の記録)の話から、(文字の習得はそれぞれどうなっているのか?)などの話になる。結局のところ、大設計者のプログラミングのことのようだ。
さて心が荒んだ三人の鬼の逃避行の様子は、チサナヒコ族の友でもある(みみずく)によって詳細に知らされており、カクレ里での療養でオグルの傷が癒えたら、タケルとホングと共に彼らとの問題解決のための追跡行が計画される。そしてすぐに実行される。
3人を送り出して数日後、タカミのところに来たサキノヒコ、アトノヒコ兄弟との雑談の中から、タカミも3人の鬼族を追って行くべきだったと気付き、そこにミメノも同行することとなり、チサナヒコの兄弟との4人の行動計画がそこに実施される。
なおハヤテはサヨカと、サクヒトはキヌヒメとの結婚が決まったばかりだし、タクミはアメメとの間にマナトと名付けた男の子が生まれたばかりなどの理由で、今回は里に残ることになった。タケルがメミナを一人残して出掛けることに女衆の軽い非難が囁かれる。それやあろうかタケルの母トヨヒメはメミナの肩を抱いてタケルたちの出発を見送った。なおタケルの父親は、大陸の半島からの渡来人で、今は故あって故郷に戻っているところだ。
一方ガング、セイン、セッキの3人は山中で大熊の襲撃という突発事件に遭い、ガングは片角と片腕を失った上でやがて絶命するに至る。大熊はセイン、セッキの二人により倒されるが、ガングはその死の直前、オグルの剣を望んだ真相を話す。 そこには父親の弱気な臆病さと、親友オーギの見事な英雄気質があったことから、それは単なる物欲では無かったことが解り、セイン、セッキの心も晴れやかになる。なおオグルの剣は、ガングの言葉でいずれはオグルに返すために二人に託されることとなる。大熊は(首塚)としてガングの隣に埋葬される。ガングが、大熊に転生したいと息を落とす際に言ったからだ。
大熊の肉で食事を終えた二人は、その夜のねぐらを求めて、ジュセの洞穴へと自然に紛れ込む形となる。
と、すべての出来事をマカイ族の仲間の(ふくろう)から聞いて知っていたジュセはこれを歓迎する。そして二人の口から、ニンゲン族のタカミによって試みられた(四種族の会同)の成功の話に驚き、ジュセはタカミに強い関心を寄せる。
話は変って、タカミの父親マカイ族のシャチと、同じくマカイ族だが少々頑なな心の持ち主であるきつね頭の兄弟、ツネキとネッキとの諍いの話となるが、ニンゲン族の娘ヒメノとの愛の交流を知った二人は、劣等な種族ニンゲンなどとの接触を激しく詰り、怒ったシャチとの争いとなり、シャチの鍾乳洞への転落死の悲劇を引き起こしてしまう。
この事故の直前、シャチは仲間内で「教師」のあだ名で呼ばれていた父親のこと、そして赤毛故にニンゲン界で一種の差別を受けていたことで、父が救い出した母(故人)のことなどを思い出す。 実はシャチは初めて(竹笛)を発明し、音楽を発案した者で、母が歌の名手であったことから、そんな発明に至ったのだろうと語った父の姿を思い出す。そんな父の顔は茶色の毛で覆われた、一見犬とも見える相貌だった。
なおこのシャチの悲劇は、シャチの最後の声がテレパシーにてヒメノの脳内に伝わり、死にたい思いになるも、お腹にシャチの魂の宿りに気付いたことで思い止まる。なおヒメノは感謝の広場での収穫祭などで(歌姫)の役を務めるほどの美声だった。夜の森でシャチの笛に合わせヒメノの歌声が静かに流れたことだった。なおこのときまでヒメノの出自は謎だった。
第2章 ウフルとシラギク
キツネ頭の少女シラギクと、オオカミ頭の青年ウフルとの出会いが、ジュセの手引きのようなかっこうで起きる。そして二人は夜の山道をジュセの洞窟へと向かう。その途中、マサングとムサングという剣を、いや鉄をこよなく愛する鬼の若者の姿を樹上から見る。ウフルは二人を知る者だが、シラギクを怖がらせるのを慮って、樹上に身を隠したのだ。
やがて着いたジュセの洞窟では、シャチを死に追いやってしまったツネキとネッキの二人を取り囲んだ、マカイ族の住人たちによる裁判のような話し合いが行われている最中だった。ジュセはシラギクをハグし、歓迎すると共にこの場の説明をする。
シラギクをここに導く最初の手引きをした、イノシシ頭のイノト。遠い異国からやって来た遠征船の遭難で、ただ一人の生存者となりジュセのテレパシーでここに導かれた鷲頭の壮年者ホルス、その二人はジュセの洞窟(彼らはそこを”ホーム”と呼ぶ)からの追放を主張する。
が、ウフルは「異形者故に、ここにマカイ族として隠れ住む吾らだ。そんな者ツネキとネッキが外世界へと追い出されたら、どんな迫害を受けるかをイノト、ホルスの二人とも知らぬわけでもなかろう。追放には吾は反対だ。」と発言する。
と、ここで何とシラギクが発言する。「今皆さまのお仲間にしていただけたばかりの者が、いきなり発言とはなんとも厚かましいと思われるかも知れませんが、そこのお二人と同じ容貌の私には、ウフルさまの言われる通り、外世界で暮らすことの恐怖感やすさまじい孤独感を、私痛いくらい知っています。それにお二人とお話も出来ずにお別れはあまりに悲しいです。」
ウフルが言います。「シラギク、よく言ってくれた。吾はこの二人にはホームの便所清掃当番を1年間やらせる程度の罰では?と思慮しますが、ジュセ尊者さまいかがでしょう?」そしてそう決められて落着する。
この少し後、ジュセはウフル、ホルスの二人に手狭となった今のホームに加え(第2のホーム)の適応地の捜査のための出立を依頼する。二人がその依頼を受けると、シラギクも同行を願い、ジュセは渋々ながらも、実際には微笑んで3人行を認める。その夜はマカイ族の酒宴となる。なおジュセの足元には二頭の、白と黒の犬が居たが、セイン、セッキが倒した大隈の肉を火を通して所持していたものを二頭の犬に与えてくれぬか?と頼まれ、二人は素直に従う。
次にジュセは二人にこの洞窟の国にしばし留まれと勧め、以後の予定も定まっていない二人とて、この勧めに素直に従う。その夜やはりジュセの左右に居た、うさぎ頭の少女ピノコと子鹿頭の娘カノコの二人を通じて、セインが持っているオグルの剣を見せてくれと頼む。武器嫌いのジュセにしては珍しい望みだ。つまりその剣は武器を離れた美しい工芸品だったのだ。
ここで話は過去に飛び、少年タカミとミメノとの出会いの頃に戻る。
秋の終わりの頃、ヤマンサのシカリとカクレ里の民で彼の妻となったミトナとに手を引かれて、7才のミメノが感謝の広場にやって来た。一目見て夢中になった2才年長のタカミは、この親子3人を里長(さとおさ)のところから、母ヒメノの居る我が家へと伴う。ミトナの姉さんのような思いだったヒメノは大喜びし、その日は再会と、ミトナのたっての頼みからヤマンサの生活を捨て、カクレ里の民になる決心をしたことの歓迎の場が設けられる。
直後シカリは森へ戻ると、ヤマンサの腕でうさぎやキジの(肴)を作って来る。いろりでその肴は焼かれる。と、そこへ里長のエビスと彼の妻マルメの二人が、ショウチュウの大徳利を持参して参加する。そしてエビスの頼みでシカリの若い頃の冒険談となる。
未だその父の姿を知らぬタカミは、話すシカリに父を仮想して熱い目で見つめる。皆はそんなタカミの様子に切なくも熱い想いを寄せる。さてシカリの最初の話は、モトシマの北の地にて出会った(セッツ鬼)という名の、片足で逆立ちで駆ける奇妙な人物の話。
次はセッツ鬼の地から少し南下したところにある湖に住む。ヒフミ、ヨイツムという双子の(水棲マカイ族)の兄弟の話。
思わず長くなってしまった。今回は奇妙な妄想話はこのへんで止めておこう。なお、第2部の終わり近くに述べようと思い、まだ書いていなかった、ダイオングの恋の話は結構面白いと自負出来るので、次の項で紹介しよう。