なんとも率直な病名!
いつの頃からか、おりがみを折っているとき、それを取り落とすことが、多くなりました。指の第一関節部が、硬く変形してきて、指先の感覚が鈍麻してきたからのようです。
友人が言いました。『それって(老人性指関節変形症)って言うのよ。私もよ。』この(老人性)という言葉が気にいりませんが、まあ事実ですからだれにも文句は言えませんね。しかしそれにしても、原因と症状をそのまま病名にしていて、自分のことなのに笑えます。
それからもう一つ、おりがみとか細かい作業が時として難しくなったのが、手の震えなんです。特に重いものを持ったり、力仕事の後などにそんな震えが強く現れます。でもこれ、父からの遺伝かも知れません。
はるか50年も昔の話、お蕎麦を食べるとき、信州人のわが家族は(七味唐辛子)をかけましたが、父は唐辛子の入った容器を持って、どんぶりの上にかざすだけで、手の震えで実にうまいことふりかけられる?!(妻もこのこと知っていて、我が父のことを懐かしく楽しく思い出してくれていますよ。はっはっは。)
父自身も笑っていたそんな症状が、数年前から私にも現らわれ、そうなったときは、父の姿を懐かしく思い出すのです。
でもまあ、自分でも笑えるくらいだから、不便さはあるも、とくに痛いわけでもありませんから、あまり気にはしていません。でもつい先日テレビで、まったく指だけで(ミクロのおりづる)を折る人のことが紹介されていて、…それを見ていて、自分の若い頃を思い出しました。
ある日のこと、突然「千羽鶴折形(せんばづるおりかた)の全49種をミニチュアで折ってみよう!」なんて思い立って、二十数種まで折ったところで、なんだか急につまらなくなって止めてしまったことがあったのを思い出すものの、その場合でも、1羽の子鶴のサイズは1cmくらいはありました。ところが、この人のおりづるのいちばん小さいものは、なんと!(2mm)だと! 「ほーっ」と驚きの大きなため息が出ました。
そしてここで昔、本多功(ほんだ いさお)氏から伺った、『吉澤章(よしざわ あきら)さんと初対面したときのエピソードだよ。』との話を思い出したのです。
『吉澤さんがね、初めて私のところに訪ねてきたときにね、ポケットからマッチ箱を取り出してさ、私の手の上にゴマ粒のような小さなものを、そのマッチ箱から振り出して、乗せてくれたのよ。
そこで目を凝らして見たら、それは極小サイズの「さくらの花」や「ちょうちょ」や「のみ」や「おりづる」なんかだったのよ! で私は思わず、「ほーっ」と驚きのため息をついたら、そのおりがみの作品たちがぱーっと掌から舞い上がって、無くなっちゃったのさ!』
まあ、本多さん一流のユーモアを伴っての作り話的な匂いもしますものの、吉澤氏という方の技量の高さを言っているようでもあります。
さて私の方の話は本当であることの証の、ミニチュア千羽鶴が出て来ましたので、その一部を写真紹介します。1円玉とでその大きさを確認してください。おっと、私1円玉の直径は1cmくらいだと思っていたが、今回測ってみるにきっちり(2cm)でした!
(1cm)と誤解していたのは、先の項での(室内飛行機)の話の中で、「1円玉を“はかりの分銅”にした(天秤)を、同書の中での指示にて作りましたが、そこで1円玉はきっちり(1g)だと教わったところからのようです。
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こんなのを、自在に折れたとは! 若かった
んだなあ! そして根気もあったんだなあ!
でも、49種全部を折らず、途中でつまらな
くなっちゃうところも、若かった現象だね?
かくて(49種全点の展覧)は幻となった! |
訂正: 大分前の項で、“なかなかに人とあらずば、…酒にしみなん”を大伴家持さんの作
と記してしまったようですが、気になっていて、今回調べたら、家持(やかもち)
さんの父親の、大伴旅人(おおとものたびと)さんの作でした。訂正します。