2018/02/25

(立体化)のこと

「21・スクエア・パズル」の(立体化)

 昨年始めたブログの最初の方にご紹介した、あの超難解な(おりがみパズルー写真1)の発見は、私の存在理由を示すものだと自負しています。そこでその後もあれこれいじってみておりますが、その一つがこれの(立体化ー写真2)の思案で、次にはそれを全て(箱ー写真3)にして、その中に同じく立体化した(タングラム)を入れるというアイデアなんです。

写真1 21・スクエア・パズル

 ところでこの全20種のピースから成るパズルを(商品化!?)することを考えたら、これを(長方形でコンパクトにまとめる)必要がありました。
 すなわち、20種の中から18種を選んで(正方形に並べる)という最終問題の次に、全20種で長方形に並べる必要が有ることを(商品化プラン)を考えたときに、はっ!と思い至ったわけです。

 さて正直に言いまして、まだこの問題について正解を見付けていません。写真に示した商品化のための(全20ピース)での長方形には、実は小さな三角の(空き)が有り、それは(取り出すときの指入れ空間)とする!と逃げているもので、…「この惑星を後にする前までに」、この(未解決問題)に答えを得たいと思ってはいるのですが…が、どうもそれは実に難しい!

 おっと『この惑星を後にする』というおしゃれなセリフは、敬愛していたデンマークのトキ・イェン(Tohki Yenn)さんのもの。おりがみ同志の皆さんは、彼のことよくご存知ですよね。 ところでこのトキ・イェンさんのお名前はご本名ではありません。
 本当のお名前は?『日本人にはとても発音出来ないだろう』とのものです。そしてトキは『ほら、鴇(トキ)という漢字は(七十の鳥)と書くだろう。それが棲む園(その)の意で、70歳になったとき付けたのさ。』と教えてくださいました。すごい知識の人!
 が彼と親友だった藤田文章先生は、『それは違う。トキ・イェンって(投機、円)から付けたんだよ』とおっしゃった。まあ、おしゃれな生き方をされた大人の先生方の、ハイセンスなジョークは、幼い精神の私には理解に時間が掛かりますが、憧れからそのスタイルを模倣するのですね。お二人の行かれた惑星に、いずれ私も移りたい!

 なおそれから、(商品化)の希望はもう持ってはおらず、本にて紹介したいと考え、その原稿はかなり以前に完成していますが、…時代の変化はもうそんな思いも諦めさせるようです。…「おりがみ遊面体」のことがまた思い出されました。
 いやはや、閑話休題ですね。 

 さて、2種から始まって、3種、4種、5種、…と(18種までを組み合わせて)「正方形か長方形」に並べる問題は、全て解決出来ています。つまり、合計(17問)の全てに、解答を得ているのです。(17種の奇数種の組み合わせが難しかった。で、この問題には辛うじて一つの答えを得たのみですが、他はかなり多くの答えが得られている!)

 さあすると、全20種でとの問題の手前の(奇数、19種での長方形は可能か?)の問題が思い浮かんで、それにも答えを得ておりませんので、結局まだ2題の超難問が残っている!…という次第。もし答えを得た方は、どうぞ教えてください。

写真2 立体化第1案

写真3 立体化第2案(箱案→タングラムを中に入れて)。
   中に入れるタングラムは(1組)あれば充分ですね。

 さておしまいにもう一つの思案をご紹介します。それは、この「21・スクエア・パズル」って、『1本の“切り込み”を許して考えてごらんよ』との阿部さんのご教示から生まれたものですが、それを今度は(不切1枚折り)で考えてみたのです。そしてそれはご覧の通り既に解決済みです。(下の写真)
 こんな思案はあまり意味のあることではないかも知れませんが、まあ「おりがみって、何でも課題にして楽しむことが出来るんだ。」という話と捉えてください。

写真4 全20ピース
の(不切1枚折り)案

2018/02/21

「ハリー・ポッター」のこと

端役二人の(おりがみ化!?)

 「ハリー・ポッター」という大長編ファンタジーが世に出た頃、まずは子供たちの支持から人気が爆発したと聞いていますが、それは実に不思議に思える現象です。
 私は娘が買ったのを借りて読んだのですが、挿絵も無く文字ばかりで、1つの卷があの何センチもの厚さのものが10巻にも及ぶストーリーを、現代、なんでも映像化される世界に生きる子供たちが大歓迎したと聞くと、まあ奇跡みたいに思える。

 それはきっと、お話の面白さ(それはとにかく認めざるを得ないものだ!)の中に滲み出る、作者J.K.ローリングさんのお人柄にも依るのだろうと思う。
 そしてもう一つ考えられるのは、少年が青年へと成長するのに合わせてのストーリー展開が、きっと子供たちにリアルタイム感を与えたこともあったのかも知れません。そして(いじめ)にも実に痛快に対応するハリー・ポッター君との快感の共有も理由でしょう。

 さて、私はこのお話の中に出て来る、まあ端役だろうが大事な登場者「クラス分けする帽子」と、「ディメンター(吸魂鬼)」の二人(?)をおりがみで作ってみました。この具体的なイメージは、本ではなくこの映画をテレビで放映してくれたのを見たからです。
 なお、「クラス分け帽子」は、後ろから見ると「ガンダルフのとんがり帽」とも見立てられました。

魔法使いの卵たちを
ホグワーツ魔法学校
に4つあるクラスの
どれにするかを決め
る「帽子」です。 
 顔が見えませんか? 
上の帽子をひっくり返せば
 ガンダルフの「三角帽子」?

   魂を吸い取るとは! まあ凄いイメージですね!
ところで映画の中でのこの「吸魂鬼」は、このよう
に(目)など見えず、真っ暗な空間でしたが、それ
では造形的につまらないので、目玉を付けてしまい
ました。リアル(?)にしたかったら目を消して。




2018/02/17

(回転折り)から

抒情的な着想

 先に(回転折り=Spin Folding)という新技法から、(正多角形)という幾何図形の折り方に新しい道を見出したとの自慢を致しました。
 が、この手法は幾何図形だけに限らず、抒情的な造形への可能性も豊かに持っているものだと判り、大いなる収穫を得ました。 そんな具体例のいくつかを、写真紹介してみましょう。

写真1 またも「木」。そしてまた「牛」を配して。

写真2 「人魚」と「海草」



写真3 面白い形の「お皿(既出)」


 そんな試みの中で、(写真4)のような(不安定な形ながら、ちゃんと立つ造形)を得ました。さてそこで、このような面白い形に皆さんなら「どんなイメージを抱かれることでしょうか?」

写真4
私はこの造形に、
「彷徨うリア王」をイメージしました!?

 実はこの少し前に、黒澤明監督の「乱」
を見ており、そこで日本版リア王となる
役を演じた仲代達矢さんの姿を思ったか
らなのでした。           
昔むかしの思い出です。     


2018/02/13

「かざぐるま」への二つの考察

分割比率と用紙形

 フレーベルの(美麗式)の大半のものは、伝承おりがみの「かざぐるま」から折られたパターンです。
 そこでこの(かざぐるま)について、二つの考察を加えてみました。すなわち、その1は、用紙を(4等分割)する基本の形から、それを(3等分割=古典資料「欄間図式」での「玉手箱」の原型)や、(5等分割)(6等分割)…、と比率を変えてみる考察です。

 そして次のその2は、(用紙形)を正方形から(正3角形)(正5角形)(正6角形)…と変えての考察です。 ただしフレーベル研究の先人による著述物には、この用紙形の変更での変化を「かざぐるま」ではなく、(美麗式)での変化として考察していました。

 しかし私は、伝承の名作「かざぐるま」そのものについて考察してみたわけです。実は
こんな試みをした理由は、(美麗式)を平面図形としてだけではなく、立体化することで美しい(容器)にしたいための、その折り出し形のためのくふうでした。そしてその1も同様の考察からでした。
 そんな「美しい容器」を写真(その3)に一覧しました。


その1 分割比率での「かざぐるま」変化。
左下は(8等分割折り)の例で、結果的には
左上の(3等分割折り)と同じサイズのもの
   となります。具体的には(ふうせんの基本形)
から折ることになるものです。      
その2 用紙形での「かざぐるま」の変化

その3 「かざぐるま」から出来る美しい花型容器 「お皿」から「壺」まで

2018/02/09

雪の結晶

スノー・クリスタル

 前項での「フレーベルの美麗式(びれいしき)」は、正方形用紙からだけではなく、(正3角形)(正5角形)(正6角形)(正8角形)、そして(菱形)から(円形)まで、その(パターンの美しさの探求)が(用紙形の変化)にて試みられています。
 そして私は、この中の(正6角形用紙からのパターン)に「雪の結晶(Snow Crystal)」への発展の可能性を見付けました。
 そこでやってみましたら、狙い通りに雪の結晶模様が次々と出来ました。そんな成果のごく一部を紹介してみましょう。ほんとうにこれ(ごく一部)なんですよ。

 ところで雪は美しいものですが、今年のように(大雪)となると、災害となってしまいますね。何事も「ほどほど」がいい。

雪の結晶
 この中の、右肩に(F)の印を付けた
二つのパターンは、フレーベル資料に
あったものです。私はそれに雪の結晶
 を見たのでした。          
 なおこんな思い付きの紹介は「おり
がみの魅力と不思議 技術評論社 平
成15年(2003)刊」でした。 



2018/02/05

フレーベルの「びれいしき」

ビューティフル・システム

 幼稚園教育の創始者、ドイツのフレーベルが創案し、そして規定した20種の教材の中に、「紙を折る=おりがみ」が含まれています。そしてその代表的な実際例としてよく知られているのが、「美の形式(Beautiful System)=美麗式(びれいしき=明治時代のちょっと奇妙な訳語)」です。

 この「美麗式」に魅せられ、「工夫と発見が楽しい! フレーベルに学ぶ 模様折り紙 日貿出版社 2015年刊」を著されたのが、沖縄の島袋保子さんです。
 島袋さんがこのご著書の表題に示されている通りに、フレーベルの「美麗式」は美しい(おりがみのパターン)が、(工夫と発見)を大人だけでなく幼児までにも促してくれるものなんです。
 きわめて容易な(ざぶとん折り)や(かざぐるまの原型)を、(表裏で色が異なる“おりがみ”)にて、ほんの3、4の折りの変化を施したり、複数を組み合わせたりすることで、それが思いもよらぬ美しく楽しいパターン変化を生みますから、…そこで(工夫と発見)となるのですね。それは幼児は元より大人にとっても、童心に還えれるたまらない魅力ですよね。島袋さんの(“ビューティフルおりがみ”復興活動)に喝采を!

 ともあれおりがみを(幼児教材)にした、これは正にフレーベルの慧眼です。

「美麗式」そのパターンのほんの一例
沖縄にお呼び頂いたとき、こんな大迫力の(美麗式)の屏風を
共同制作されて歓迎していただきました。これほどの感激を味
わわせていただいた経験は、滅多にないものでした!忘れられ
ない美しい思い出です。                 



2018/02/01

桃の節句

ドールズ・フェスティバル(ひな祭り)

 世界中の女の子がこの日本の行事を知ったら、みんな羨ましがるのが3月3日の「桃の節句(ひな祭り)」ですね。英語では(Doll's Festival)と訳されていますね。
 そこでクリスマスと同じように、3月3日に向けて2月に入ったところで、日本だけの(おりがみシーズン)が始まります。
 そこで私も昔くふうした「おひなさま」を新しい(飾りステージ)に乗せて紹介してみました。