(折る)という行為は、原則的には「紙に(直線)を作図すること」とも考えられます。ところがこの直線作図行為が、ちょっとしたくふうで(曲線的な印象)を生み出すことになります。こんな課題は前にも記述しましたが、ここではまたちょっと視点を変えての話です。
(写真1)の左上の図を見ていただきながら説明すると、辺に平行な等分割線の折り目を付けたら、次にその等分割線と反対の折り目(谷折り⇄山折り)を、等分割の細長い長方形のひとつの(対角線)として、そのすべてを(平行)に付けます。するとそこに、用紙の中央を中心として、(コンパスで円を描く)ような現象が起こります。
写真の左上から右へ移っての形がその結果の造形です。ねっ、紙の縁が曲線的になっているでしょう。 この形は、二つ折りして「二枚貝」とか「草」とか「木の葉」などの一般的な作例へと仕立てられるでしょう。
さて次に、用紙形を正方形から(長方形)や(台形)に変えて、その形に同じような折り線を施してみますと、…ここには曲線的な造形と共に、対角線の付け方で(“左右”の造形の相違)という現象が起こります。これはとても面白く楽しい発見でした。
とくに下中央の形からは、実に面白い「お皿」が出来ますから、考えてみてください。
写真1 右側の2形では、平行線ではない折り目を付けてみたもの。 |
さて、こんな発見をさらに推し進めてみました。(写真2)をご覧ください。ここでは正方形の半分(1:2の長方形)で、写真1での試みと同じ折り線構造で、今度はその分割比を変えての造形変化を見てみましたところ、なんと!、それは美しい紙の表裏でのツートンカラーの(円形)イメージを生む造形となりました。そして次にそれを(半開き)の状態へと引き離してみると、そこに(螺旋形)が生じます。
ところで(円形)と見える造形の場合よりも、その分割数の荒いもの(左側の5等分のもの)では、(正多角形→正8角形)が、そしてその下の(6等分では正10角形)と見えるものが現れていますね。…で、ここから思案を広げてみたものが、(写真3)の発見へと繋がったわけです。
写真2 「円形への思案」が! |
まあ上記のような考察の結果、私は新しい「正多角形の作図法(写真3)」を発見し、その昔、たまたまドイツにお呼ばれした折に、おりがみの同志の方たちにこんな発見の発表をさせていただき、皆さんから実に嬉しい喝采を得たのでした。
なおそこで自慢させてもらったことは、定木とコンパスという(幾何図形の作図において、その使用を許された二つの器具を使用しても、“作図不可能図形”)とされた、(正7角形)や(正9角形)、(正11角形)や(正13角形)…などまでも(同じ要領で)描けることを発見したわけです。そうなんです! それこそ鼻を高く出来る自慢の発見でした。
で、この折り方手法にはコンパス折りより(回転折り)の方が似合うかな?と思い、そんな命名をしました。
指で折れる限界あたりの(正23角形)まで折ってみましたが、…もうこれはほとんど(円)の印象ですね。
写真3 正3角形から正23角形までの21形 |
ともあれ、(おりがみ遊び)に惹き付けられるのは、こんな楽しい発見が、教育者でも学者でも無い身にもやれるからでしょうね。
いえそう言うより、専門家ではないから逆に常識に捉われず、(近似解)で充分満足!と、自由気ままが出来るからなんでしょうね。(この具体的な作図法は、「おりがみ新発見1 日貿出版社 2005年刊」にて紹介しました。)
面白い「お皿」 (写真1)の解説からの造形 |
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