2017/09/17

二人の天才を思い、ため息を吐く。

 スペインの天才建築家、アントニ・ガウディ(Antonius Gaudi 1852〜1926)と、日本に初めて博物学やエコロジーの理念を持ち込んだ先駆者、そして(粘菌)という不思議な生命の存在を教えてくれた天才、南方熊楠(みなかた くまぐす 1867〜1941)。
 ところでその残された顔の写真を見ると、何とはなく二人は似ているように思われる!
それは私だけの印象だろうか?(二人の顔は、インターネットででも見てほしい。)

 この二人の天才は、共に自然と生命を畏敬し、そしてその自然の創り出す形を理想のものとして受けとめていた。そのことは、その純粋で一途な目に現れていて、その印象から似ているように思われるのかも知れない。

 ガウディはいくつもの作品の中に、具体的に自然の造形をいっぱいに取り入れているから、その理念ははっきりと感じ取れる。熊楠はその思いを文章に綴り、丁寧なスケッチを添えて示した。が一方、明治初年に政府から出された廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の命令にて、仏像や御神木が次々と破壊されたり、売却されたりするのに対し、体をはって反対を唱える行動もとったとか。自然を畏敬するのは、神道だけならず仏教とても共通の理念なのに!の思いからだろう。樹木の中から荘厳さを伴なって彫り出された、万人の心を清めてくれる仏像の破壊など言語道断との思いもあったのだろう。
 しかし、そんな個人行動がうまく行かないとみると、政府の高官でもあった民俗学者、柳田国男(1875〜1962)に訴え、廃仏毀釈の暴挙を止めさせたと聞いた。見事で大きな知恵に裏打ちされた行動だと思う。

 さてこんな天才の名前を出して、何を言いたいのかといえば、自然の生み出した造形、そして命の美しさは、野に咲く一輪の草花、あるいは一枚の木の葉でもじっと見つめるとその繊細な美しさに思わず感動し、二人の天才の思いに改めて共感させられる。
 南方が生涯を打ち込んで研究した「粘菌」とは、南方の言葉通りに『吐き捨てた痰みたいな姿、』の時期も有るが、それが命を持っていて、どうぶつのように動き回るが、同時に植物のように胞子を作ったりもする! そんな動植両態の玄妙不可思議な在り様が畏敬されるということなのですね。

 まあ大層な話をしたところで突然、卑近なる我田引水の話とはなるが、先頃「つめくさ(クローバー)の花」をおりがみで作ってみたが、たった1本のそれを作るのに、実に1時間近くの時間を要した!
 自然はその何千本、何万本、いや無数とも言える数で地を飾る。これほど地に溢れているので、昔、箱の中の品物の緩衝材に(詰めた)ので、「詰め草」の名となったとか。
 毎日の散歩で、ふと足を止め、一群のつめくさをじっと見つめ、…やがてそこに(四つ葉)を探し、…あれっ、このときの目は、もう畏敬ならずして欲望の目か?

アカツメクサ・シロツメクサ
花は、これで3度目の登場となる「おりがみ球」

 また側らに「どくだみ」という植物が有る。これは実に有益な植物なのに(毒)などと言う名を付けられ、これまで「ひどい!」と思っていたが、後半の(だみ)は(矯み)の意で、「毒を取り除く」となるのだとか!?…辞典にはそんなふうに説明されていた。
 私の母は、この植物を採って干して、「ゲンノショウコ」などと合わせて「お茶」にしてくれた。慣れると飲みやすく、肌に良いらしい。私の皮膚の弱いのを直してくれようとての母心です。…そこでその花も(おりがみ化)してみた。その葉は、美しいハート型をしている。
(ツメクサもドクダミも、春から初夏が花の盛りです。原稿と写真の修正などのこともあり、時間が遅れての公開との時期のずれから、つい季節感の相違が生じてしまいました。お許しあれ。以後は充分気を配ろう。)


ハート型の葉を持つ「ドクダミ」


 とまれ、自然の生命のなんという輝き! そう思って改めて畏敬のため息を吐く。
さてこれはもう蛇足となるが、ツメクサと似るもので、「ヒメツルソバ」という植物があるが、これが最近はツメクサ以上に目に飛び込んでくる!(これも春から初夏が盛り)
 明治の頃、(ロック・ガーデン)のために、岩場に強い植物として、ヒマラヤ原産のこの植物が輸入され、それが野生化されたのが現在だとか。そこでそれも折り紙化してみました。ここで面白いのはその葉で、まるで(ぞうり)のように(はなお模様)があることです。花は4度(おりがみ球)の採用。ツメクサの8分の1くらいの小ささです。


「ヒメツルソバ」というこの花の名は、
植物のことにすごく詳しいお隣りの
奥さんから、妻が教えてもらって、
そして私も知りました。     


 さて、沖縄の美しい海で、ジュゴンたちが平和に暮しているところを、基地にしようとしているニュース映像を見ると、それってかつての廃仏毀釈の暴挙に似て見える。そんな思いで、おりがみの「ジュゴン」を手にして、やりきれなさにため息を吐く。

ジュゴン
この生物の体の色は、グレーだったかも知れないが、…
手許に在った良い紙で折ってしまい、とてもうまく折れ
たので、そのままにした。まあこれ、おりがみの自由!


 人間って、進歩していると思って来たが、1万年、平和を保って来た縄文人の終わりの頃から、なんだか退歩し続けているようだ! 悲しいことだと思い、またため息を吐く。
 と先日、テレビニュースで、石垣島の洞窟から(我が国最古の人骨発見)と! ジョーモン人のルーツは、沖縄かも知れない!? これには「おーっ」と一人歓声を上げる。

 まあ確かに科学は進歩し、こんな幼稚なつぶやきなんぞを、家の中でへらへらとして座って居て発信出来るのに、退歩など言うはおこがましいが、…その結果の悲劇を知りながら、憎み合うことを止められない恐れの暗い心から、戦争の準備としての基地を増やすなどの行為は、とても進歩などとは言えないだろう。「どうして人間は、戦争という蛮行を止められないのだろう?」そんな悲しい思いでため息を吐く。

 おやまあ、えらそうなことを言う前に、私はミニチュアおもちゃピストルと、おりがみの武器で自身の欲心を撃ち倒し、謙虚な心でいられるよう、難しいが努力しよう!
 そして、野に咲く一輪の花に目を凝らし、優れた先人の心を感じ取りたいと願うのだ。

タンポポのキューブ
フレーベルの美麗式の中で、
もっとも人気の高いパターン
を「タンポポ」に見立てた。


おもちゃ武器は、邪心に向けて撃つ!

20円のガチャガチャでのミニミニ「スプリングピストル」
200円のカプセルと比べると、20円のそれはカプセル自体も可愛い!
おりがみ「大小刀」

エンゼルの弓矢

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