ずっと以前、友人の芸術家たちの合同展覧会に誘われて、おりがみで参加させてもらったことがあります。その友達とは、陶芸家、書道家、七宝作家、レザークラフト作家、などの芸術家たちです。中で親分肌の書道家の、その色気のある書に魅せられて、彼のアトリエで筆の使い方などを楽しく教わったものです。そして稽古の後は全員で酒を楽しむ!
さてここで少々困ったのは、…会場費などの負担は、みんなは(作品)を売って、それにより費用を賄うことが出来ますが、おりがみでは作品は無くはありませんが、折ったものに値段を付けて売るようなことは、当時の私としては、「理想に反する!?」と思っていました。
つまりは、おりがみって(折り方のプロセスを楽しむもの=自分の手で折るもの)それが第一であって、折り上がったものが作品(=商品)となるようなことは、当時ほとんど考えられない思いになっていたのです。(…ただし、若くて大いに蛮勇を持っていた頃、河合豊彰さんという十歳ほど年長であられた、おりがみ“作家!?”を、追いかけていました。そこで、同氏と同じく銀座でおりがみの個展を開いたのですが、そのときは、これまた同氏を真似て、“売るためのおりがみ作品”を一心に考え、…“マイカ・ウォール”という特殊な壁紙で折ることを考え、そして実際に数点買ってもらえて、なんとか会場費が出ましたが、その折ったものがいつまで形を保っていてくれるか?…そのことには懸念があったのです。)
例えて言えば、生け花展で、その生けた花を売ること!…そんなことが考えられないのと同じだとの思いが強くなっていたのです。つまりもう蛮勇は無くなっていたのです。で、その頃ある化粧品メーカーからの依頼で製作した「おりがみのビデオテープ」などを売ることにしたりしましたが、…思うようには行きませんでした。また良い思い出の中にあった「ミニチュア・ボックス」に、値段を付けてみたりもしましたが、これまたまったく失敗で、やるべきではなかったと、今更ながら後悔しています。
いずれにしましても、前もってそのことは相談し、皆は配慮してくれて、会場入り口に在った可愛いショーウインドウに、おりがみを飾るというようなことなどで、負担軽減をしてくれたわけです。
ところでこの合同展には、具体的なテーマといったものはありませんで、楽しい飲み友だちの、ある種(恒例のお祭り)のようなものだった、とそう私は受けとめていたものなのです。しかし、かといって入り口のショーウィンドウを飾るなら、その飾るおりがみについては、やはり共通するテーマ的なものでないと、などと考えていたところ、…「花鳥風月みたいなのは?」とのサゼッションをいただいたこともあり、…確かに陶芸も、書道も、七宝も、レザークラフトも、いずれも永い伝統を有する芸術で、そんな古来からの美意識の中での、基本的モチーフとしての(花鳥風月)ならば、確かに納得出来るテーマでした。
…でも、(花鳥)はおりがみにおいて得意とするところですが、(風月)は!?…ことに「風」という無形のものをどうする?…そこで考えたのが「こいのぼり」でした。そして「月」は「三日月」の形とすることとしました。
花は「牡丹」、鳥は「おしどりのカップル」、以上で私の「花鳥風月」、かくのごとくにて一件落着となりました!?
下にその頃を思い出して作ったものに、最近のくふうを加えてご紹介します。
花=牡丹 |
鳥=おしどりカップル |
風=こいのぼり |
月=三日月に乗る唐子 |
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