2017/04/07

出版履歴と本の思い出

本好き人間

 自分で自分自身を分析(アナライズ)してみると、どうやら私のいちばんの興味と意欲の対象は「本」のように思う。それは “読書” と “記述” の二つで、…読書ということでの
思い出は、…高校時代、試験の最中に図書室で物語を借りようとして、係りの先生に注意され貸し出しを許されなかったので、図書室で夢中になって読んだ記憶にあるのが、ジョージ・ガモフ著「不思議の国のトムキンス」というもので、…後年おりがみを通じてお近づきになれた、わが国理論物理学の泰斗、伏見康治先生がこの書の翻訳者であられたことを知りびっくり仰天したことです。当時の私は、この本は空想科学小説だと思っていたのです。(いえ、そう思っても楽しい話。)

 ところがこの著者ジョージ・ガモフという人は、『この宇宙は大爆発から始まった!』という、あの「ビッグバン理論」の提唱者だったことを、伏見先生との出会いで知ったことなのです。…おっとつまらぬ余談ですが、このときの物理の試験では、初めて0点をとった! 図書係りの先生の忠告を聞かなかったせいですね。

 次に、この作家と同じ時代に自分が居ることの幸せを感じるほどに好きだった松本清張さん。その清張の文庫本を、昔の朝日新聞社のビル内のアラスカという喫茶店で読みふけっていて、ふと目を上げたら前方に松本清張さんご本人が居られた! 声を掛けるなどの勇気はまったくなかった。…でも、サインもらいたかった!

 まあなんの意味もない話のように思われるでしょうが、…私と本の結び付きを言いたいのですね。似たような出来事は、小学館ビルの中で、手塚治虫さんの姿を見たこと。ベレー帽でかっこよかった。サインもらいたかった!

 恥かしがりやである私は、敬愛する有名人の実物を目にしただけで満足するべきでしょうね。後年、ミステリー作家の佐野洋さんとは、おりがみ好きの佐野さんの方からのお声掛りにて、何度かお会い出来る機会がありました。背が高く理知的で魅力的な方でした。

 私は映画やテレビを見ることが大好きです。でも、映像でイメージが固定されてしまう映画やテレビより、やはり本が好きなんです。もっとも、本で抱いたイメージをさらに上回るほどに見事に作られた映画は、本に等しく大好き。たとえば「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」を見事に映像化したピーター・ジャクソン監督は、すごーく好きです。CGというのですね!ありゃすごい!

 そしてそんな本好きが、おりがみの図書とは言え、自身で本の記述をするようになるとは、思えば不思議なことです。

 ともあれ、おりがみに熱中することで、優れた先輩の先生方と巡り会える中で、私は先輩の先生方に何故か大いに愛されるという幸運を持っていたように思われてなりません。

 私が夢にも思わなかった出版依頼という出来事に遭遇した大本(おおもと)は、内山興正師に由ります。京都安泰寺という禅宗のお寺のご住職であられる一方、先生のおばあさま、そしてお父様(=内山道郎氏=内山光弘はペンネーム)と、3代にわたっての(おりがみ継承者)であられた内山師は、おりがみのご著書を(ひかりのくに社)と(国土社)という、仏教関係の出版を主とする出版社から出されており、一般の出版社からの依頼は、義理に従われてか、お断りになられておられたのでした。かくていろいろな経路を経て、盛光社という出版社から私のところにおりがみの図書の依頼が来ました。結果実現したのが「母と子のおりがみの本」でした。そしてこの私の処女出版は、当時人気絶大の画家、岩崎ちひろさんにより夢のような装丁となり、…このこともあったのでしょうか、画家の千野利雄先生のご推薦をいただき、EXPO‘70の松下館でのタイムカプセル収蔵図書に選ばれ、なんと!5000年後の未来へと残されることになるのです!

外部リンク:タイムカプセルEXPO'70[収納番号 No. S-17-8-1]

 当時私はまだ20代(24才)でした。処女出版が5千年後まで残る! 宝くじに当るよりすごいことだと思いました。

 なお、このタイムカプセルは大阪城の側に同じものが2つ埋められ、その一つは状態を見るために “50年後” に掘り出されるとのこと。…それは私が80才となったときです。…生きていたら見に行きたいものです。

 内山興正先生,千野利雄先生、伊東万耀先生、伏見康治先生、…私は幸運の星の元に生まれた者のようです。

母と子のおりがみの本


来世でも座右に!

 前記の通り、私の処女出版は未来のために埋められました。でも私が自身の棺に入れてほしい書は、…それから11年後に小学館から出版された「学習図鑑 紙とおり紙」です。この本の実現には、素晴らしい編集者の方々とカメラマンの、今思い出すだけでも胸が熱くなる善意の皆さんのご支援を得て、1年の時間を懸けて出来た本です。

 私はこれまで、実に “170冊” の本の著述と編集に関わって来ました。いつも全力で作業したつもりですから、どの1書も自慢です。…でもそれらの中から座右の1書を選べと言われたら、この小学館発行の「紙とおり紙」です。でも今はもう残念なことに絶版となってしまいました。お持ちの方は、どうぞ大事にしてくださいね。

 おっと、「棺に入れて」は喩えで、そんな無駄は止めてくれ。

紙とおり紙

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